パソコンが壊れた

 

すっかり日常のツールになってしまっているパソコン。いちいち意識せずに便利さを享受しているせいで、いざ機能しなくなったときの気分もまた独特だ。なんだか無性に腹が立つ。怒りをぶつける対象が不明のまま腹立ちだけが増幅していく。だいたい、壊れた理由がわからない、予告もなしに突然動かなくなる、蓄積したデータが無事取り出せるかどうかもわからない。まるで謂われなく罰を下されたみたいな理不尽な気分だ。

 

私は仕事がら、常に2台以上のパソコンを手元に置いてきた。クラッシュするときは、なぜか大事な仕事を抱えているときが多いという、被害妄想的な気分のせいだ。現在使っているのは、動画の編集に便利なようにと5年ほど前に購入したNECのValuestar。もう一台は8年ほど前に購入したTOSHIBADynabookだ。今回壊れたのは新しく上等なはずのValuestarだ。いつもどおりに夜に使い終えてからシャットダウンした。翌朝いつものように電源スイッチを押したが、うんともすんとも言わなくなっていた。手の施しようがない。

 

それで、いまは使い分けていたタスクをすべてDynabookでやっている。どこか心細い思いがあるのは、これが3年ほど前に起動しなくなったことがあるせいだ。そのときも何か締め切り間近の仕事を抱えていた。原稿はいつも4か所に保存しているから心配はなかったが、使用中の資料が膨大にパソコン内にあった。幸いなことにこのときは不具合の予兆があったので、大急ぎで資料を片端からメモリーに保存した。おかげで、もう一台のパソコンで仕事は無事継続できた。

 

しかもあの時ラッキーだったのは、Dynabookが自力で回復して起動するようになったことだ。あのころはWindows7だったかWindowsXPだったか忘れたが、自己回復の機能があるから電源を入れておくといいと助言してくれた人がいた。そのとおりにしたら、3日後にふいに目覚めたみたいに、あの懐かしいWindowsのマークが画面に現れた。

 

けれどもその時の後遺症か、このDynabookはいくつかの不具合を抱えている。メールソフトが機能しないので、webメールを使うしかない。マイクロフォンが機能しないので、スカイプが使えない。それに2時間以上使うと異様に熱を帯びる気がする。だからクラッシュを恐れて、熱くなるとパソコンを休ませている。

 

そんな状態だから、目下の課題はさて今後はパソコンをどんなふうに使っていくかを決めることだ。しばらく前から考えていたタブレット端末の導入に踏み切るべきか。タブレット端末の画面に現れるキーボードが使い勝手が悪くて嫌いなので躊躇していたが、最近キーボードを外付けして使うと便利だと知った。

 

または、思い切ってもう一台はアップルにするか。これは娘の影響だ。彼女は完全なアップル派で、アップルを称賛する。実際パソコンの歴史を振り返れば彼女の論にも一理はある。事実彼女は、一台のアップルをかついで世界のどこへでも出かけていき、重要な仕事も含めて酷使し続けているが、ついぞトラブルの話は聞かない。

 

パソコンの選び方は、使い方によって大きく異なるから、意見を聞いてもすぐには参考にはならない。いま意見を求めている友人は、部外者の私にはわからないけれど腕のいいプログラマーだ。少しぐらいのトラブルならば自分で直してしまう人だから、やはり選び方は私とは大きく異なるだろう。だが有用な助言をもしかしたらもらえるかもしれない。

 

さて、どうしたものか。もう一台が壊れているという不安にも、ここ数日で少し慣れてきた気はするのだが。