2018-01-01から1年間の記事一覧

村の時間 町の時間

『田んぼ(PAYO)』という芝居を見に行ってきた。 演じる人たちに興味がわいたからだ。彼らは、フィリピン・ルソン島の北部山岳地帯に住む少数民族イフガオ族の若者たち。そのあたりにはさまざまな少数民族が暮らしていて、世界文化遺産・世界農業遺産などに…

夏のあと始末

日々、庭や畑の草刈りに追われている。と言っても、私の場合は雑草をべつに嫌っているわけではないので、切迫感はないのが救いだ。皆が毛嫌いする猫じゃらしやアカマンマの草藪も、しげしげと眺めれば可愛らしい穂が一斉に風にそよぎ、アカマンマの飾り気の…

クコ(枸杞)を摘む

畑の雑草が丈高く茂ってしまったので、朝から畑へ出かけた。この夏は、あまりの暑さに畑仕事はあきらめたような格好だった。だから畑では雑草の穂がゆらゆらと揺れていて、その陰に野菜が隠れているというありさまだ。 それでも野菜は実るのだ。もちろん手を…

景品のベンチを、お返しします

およそ10年前、信州に家を建てるときに、いちばん考えたのは冬の寒さ対策だった。当時住んでいた東京郊外で、時間をみつけてはモデルハウスを見学したり、建築会社の説明を聞いたりしたのも、いまとなっては遠い思い出だ。 埼玉あたりでも床暖房などを導入し…

『軍中楽園』 国家が抱える虚無をあぶりだした力作 

台湾映画『軍中楽園』(2014年 ニウ・チェンザー監督)は、中華民国国軍が軍隊内で運営していた娼館を描いている。スキャンダラスになりがちなテーマに正面から取り組んで、ニウ・チェンザー監督が描こうとしたのは何だったのか。 監督はこの作品について、…

フィリピン  子供と年寄りにやさしい国 

8月初旬に、10日足らずだがフィリピンを旅した。 こんな短期間の旅で、行った先のことを語るなど、おこがましいことだ。そうは思うのだが、7700もの島から成るこの国を島から島へと移動しつつ感じたことがあるので、それを書いてみたい。というのも、ここは…

梅の恵み 夏の哀しみ

台風がらみの雨がつづいて、今日は久しぶりの快晴。午後は暑かったのでずっと本を読んだり手仕事をしたりして過ごした。いま読んでいるのはイアン・マキューアン著『愛の続き』、たしか3回目だ。夕方4時半をまわったころ、少しは体を動かそうとジョギングに…

伏兵あらわる

有機農法の講演会を聞いてから、私は異様なほどよく働いた。早朝2時間余りの畑仕事。小梅を2キロ漬けた。1キロは塩と砂糖を使って、もう1キロは塩だけで。塩は少なめにしたが順調に梅酢が梅を覆ったので、紫蘇を入れて暗い場所にしまい込んだ。そうだ醤…

有機農業、勉強会

上田に行ったときに、偶然に有機農業の講演会のチラシを手に入れた。最近はチラシ類もずいぶん色とりどりだが、このチラシは水色の紙に墨一色、しかも昔懐かしい手書きで楽しいイラストが添えられている。一枚しか残っていないチラシを手に取って、まず講演…

死刑の基準 「永山裁判」が遺したもの

永山則夫のことをもっと知りたくなって、同じ著者の本をもう一冊読んだ。『死刑の基準 「永山裁判」が遺したもの』堀川恵子著だ。 先日取り上げた石川義博医師による精神鑑定書は、永山の生い立ちを精緻に追っていき、彼がなぜ4人を殺して連続射殺魔と呼ばれ…

永山則夫 封印された鑑定記録

年末から年始にかけて「永山則夫 封印された鑑定記録」堀川恵子著を読んだ。自分がうわべしか知らなかったことに気づかされた、ずしりと重い本であった。 永山則夫が4件の連続射殺事件を起こし逮捕されたのは、1968年から69年にかけてのことだという。事件お…