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野菜情報

午前中、原稿を書こうとしているとチャイムが鳴った。机上のアイホンのボタンを押すと「××です」と、名前が切れた応答が聞こえた。だが声の様子から親しい友達だと推測できたので、階段を駆け下りて玄関のドアを開けた。杉田さんだった。

 

大分の親戚から送ってきたので、と見事なカボスを7個もいただく。それと畑でとれたので、とこれも見事なレタスをひとつ。この町で暮らしてうれしいのは、こういうもののやり取りだ。頂き物が多ければすぐにおすそ分けし、畑に差し上げられるものがあれば手土産がわりに持っていく。それにしても、なぜわざわざ下さるのだろうと思うくらい、皆さん気前がいい。

 

すぐ近くの私の畑に案内しながら、野菜の話をする。キャベツを上げようかと言って、ひとつだけぽつりとなっているのを見せた。すると杉田さんは、それはまだ小さい、取らない方がいい、という。フェネルの花を見せて、種を取って来年また蒔くのだというと、葉っぱを味わっていいかと言う。ちぎって渡すと、その場で噛んでみて、私にも種をちょうだい、とのこと。

 

クコが長く枝を伸ばしているのも見せる。その先の方を切って渡す。杉田さんの近くにもクコと思われるものがあるが、実をつけたことがないのだという。持って帰って比べてみて、植えておくと言う。畑を歩きまわりながら、杉田さんが今年はニンニクを植えるつもりだという。私はいままで2回ニンニクを栽培したことがある。その経験談など話す。杉田さんの方が畑の腕はずっといいはずなのに、私の経験談を熱心に聞いてくれた。

 

その杉田さんの話がきっかけになって、数日後にニンニクを植える場所を耕した。ひまわりや紫蘇やビーツを育てたところで、冬の間も比較的日当たりがいい場所だ。一日目は耕して、翌日堆肥を埋めた。堆肥は庭のコンポストに生ごみや刈り取った雑草を入れて作ったものだ。一回目にニンニクを作ったときは、比較的うまくでき、その時は確か堆肥をつかったのだ。

 

庭から畑までは徒歩1分足らずの距離だが、堆肥は重い。バケツにいっぱい入れるて下げると、そちら側に体が弓なりにしなうほど重い。その重い堆肥を3回運んだ。畑仕事はやはり肉体労働だ。汗でぐっしょり濡れたシャツを脱ぎ捨てながら、時折の肉体労働が身体にとって良い作用をしてくれることだろうと考える。生きている限りは丈夫でよく動く体でいたいものだ。