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トマトケチャップ をつくった

 

 私の畑は、日当たりといい土といい、条件はとてもよいはずだ。けれどもなんせ腕がよくない。それで作物の育ちは、すべて自然の恵み次第だ。


 今年は何もしないのに芽が出て育ったカボチャが3本あって、大きいカボチャが6個も獲れた。はてさて、どうやったら食べきれるだろう。
 自分で苗を植えたもののなかでは、なぜかトマトが素晴らしいできばえだ。大きいトマトはつくる自信がないので、ミニトマトとミディトマトを1本ずつ植えた。けれどどうやら2本の間隔が狭すぎたようで、枝が絡まりあってまるでジャングルのようになってしまった。


 それでジャングルの中に首をつっこむような具合に腕を伸ばし、赤くなったトマトを毎日収穫する。自分が畑でつくったとなると、たとえ出来が悪くてもひとつたりともムダにはできない。幸いこのトマトは味はよいので、毎日毎日顔がトマト色にならないかと心配するほどトマトを食べる。それでも全然食べきれない。


 そこでケチャップをつくった。無農薬で育てたトマトでつくった無添加のケチャップは、いままで手に入れるのが難しかった。だが自分でつくればできちゃうわけだ。問題は普通のトマトでなく、ミニトマトでうまくできるかということだ。だが獲れたトマトを全部食べるには、これしかない。


 面倒だったが皮をすべて湯むきして、大鍋一杯。3キログラム近いトマトと、タマネギ、ニンニク、砂糖、塩、をぐつぐつと煮て3分の1の量になるまで煮詰めた。これで美味しくならないはずはない、と味見してみたら想像以上のうまさだった。それで、最後に酢を入れるのを、じつは忘れてしまったのだが、まあいい。どんどん食べよう。早めに食べれば大丈夫だろう。瓶に詰めたら、大きめのが3本にもなった。


 以来、食事が楽しくて仕方がない。ケチャップは添加物を心配していままであまり食べなかった。だが今回こうして自分で中身が全部分かるのをつくってみたら、自分がいかにケチャップが好きかもよく分かった。いろんな食べ方で、毎日食べている。


 思えば、現在では料理といえばスーパーで材料を買いそろえて、というのが常識になっている。レシピもそれを前提に考えられている。けれどささやかな畑をもって分かったことは、毎日の料理というのは本来、手に入ったものや手元にあるものをいかに美味しく食べるか、ということであったはずだ、ということだ。まわりを見回すと、食糧生産に携わっている人たちの料理は、地味だけれど非常に奥深い。飽きないように少しでも美味しくとの工夫が、ぎっしりつまっている。