ビーツ を収穫

 

 一見草だらけの私の畑でも、野菜は育っている。
 今日はビーツを収穫した。私はビーツと香菜(シャンツァイ)を食べたいばかりに、畑仕事をしているのかも知れない。いちばん大きいビーツをひとつ収穫する。こうやって大きくなった順に1個ずつ取って食べるのが、小さい菜園の醍醐味だ。

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 ビーツは夏ミカンくらいの大きさまで育つ、中身が芯まで濃い赤をしたカブだ。ほろ甘い味と乾いた砂のような独特な香りが特徴で、ロシアのボルシチの赤い色はビーツの色だ。煮込んで美味しく、焼いて美味しく、茹でて美味しく、私にはなくてはならない野菜だ。だが日本での人気はいまひとつだと農家の友人は言う。どうもあの香りのせいらしい。味を覚えてしまえば、好きなる人は少なくないと思うのだが。


 私がビーツを好きになったのは、30年ほど前にイギリスで暮らしたのがきっかけかも知れない。いまはどうか分からないが、あのころはロンドンでも道ばたで湯気を立てたビーツが売られていた。ちょうど日本の石焼き芋のような感じで、ほこほこと煙と湯気を立てていて、買うとやはり新聞紙や雑紙に包んでくれる。急ぎ足で家に持ち帰り、ふうふう言いながらかぶりついたときの満足感は忘れられない。


 いまだったら適当な大きさに切ってサワークリームなどかけて食べるかも知れない。だがあのころはあの食べ方がいちばんおいしかった。冬になると3時過ぎにはもう暗くなる寒いロンドンの生活を、あの真っ赤な色と甘みが元気づけてくれた気がする。


 そうそう、わが畑ではブルーベリーもそろそろ食べ頃だ。

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