女の人生

絽の浴衣  母の思い出3

この涼しい信州でも、夏は祭りの季節だ。 7月半ばに祇園祭がある。そしていつから始まったのか知らないが、私の子供のころはなかったドカンショ祭りが8月初旬。お盆になると花市があって、これは私が好きな行事のひとつだ。駅前から目抜き通りまでずっと道端…

エスペラント語の辞書  母の思い出2

大学に入ったころ、私はかなり不貞腐れていた。「べつに大学など行きたくもないが、これが家を離れるいちばん簡単な道だ」などと、いま思えば鼻つまみの生意気な捨て台詞を吐いて東京へ出て行ったのではなかったか。 そんなふうに始まった大学生活だったが、…

海   母の思い出1

山国信州では、小中学校の夏休みは4週間しかなかった。 それでも強い太陽の光の下で、真夏の暑さは充分に堪能した。だがなぜだろうか、夏の思い出にはカンカン照りの日差しに隈取られた、そこはかとない悲しみがまとわりついている感じもする。 子供たちは…

狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ

また分厚い本に手を出した。『狂うひと』(梯久美子著 666頁)。途中でやめときゃよかったとは思わなかったが、しかし、、、。 著者ははじめは島尾ミホの半生を本にまとめようとしたが、途中で取材を断られてしまったという。しかしミホの死後に、残された膨…